映画を観た誰もが膝を打ったあの「免許センター(DMV)」のシーン。主人公のジュディが急いで車籍照会をしたいにもかかわらず、手続きを担当するフラッシュの動きはあまりにも重厚で、指一本動かすのにも永遠と思える時間がかかる。なぜ彼らナマケモノが、スピードと効率が求められる公的機関の職員として配置されているのか。その裏には、制作陣による極めてブラックで秀逸な社会風刺が隠されていた。
アメリカにおける「DMV(Department of Motor Vehicles)」は、現実世界でも「待ち時間が異常に長い」「職員の手際が極度に遅い」というお約束のネタとして知られている。アメリカ人なら誰もが一度は経験するこの苛立ちを、そのまま動物の世界観に落とし込んだのがこの設定だ。だが、驚くべきはそれだけではない。公式裏設定によれば、フラッシュはナマケモノ界においては「これでも最も手が早く、優秀なエリート職員」として評価されているというのだから可笑しい。
さらに物語のラストで明かされる衝撃の事実——夜な夜な街を猛スピードで爆走していた赤のスポーツカーの運転手が、他ならぬフラッシュだったというオチだ。昼間は超低速で事務処理をこなし、プライベートではスピード狂というギャップは、ファンの間で今も語り継がれる屈指の裏設定となっている。