この希代の物語を生み出したのは、類稀なる美的センスを誇る漫画家・枢やなである。19世紀後半のヴィクトリア朝ロンドンを舞台に、美しさと凄惨さが同居する独特の世界観を描き出し、世界中に熱狂的なフォロワーを生み出してきた。『黒執事』の根底に流れるテーマは、単なる勧善懲悪ではなく、人間の欲望と執着が引き起こすダークファンタジーの深淵そのものだ。
衣装のレース一枚の描き込みから時代の空気感、さらには登場人物たちの皮肉めいた対話の妙に至るまで、徹底された時代考証と美学が貫かれている。物語のあちこちに散りばめられた謎と伏線は、読者を魅了して止まない。