中曽根康弘氏の軍歴は、日米開戦直前の昭和16年(1941年)に始まりました。東京帝国大学法学部を卒業し、当時の内政最高権力機関であった内務省に入省した中曽根氏は、官僚の身分にとどまることなく、海軍の「短期現役士官(短現第6期)」として主計科士官に志願しました。
短期現役士官とは、大学卒業以上の学歴を持つ優秀な民間人を即戦力の後方管理将校として登用する制度です。経理学校での短期間の猛訓練を経て、中曽根氏は海軍主計中尉に任官。物資の調達、補給、会計、設営部隊の労務管理などを一手に担う主計将校としての道を歩み始めました。
戦況が悪化する中、卓越した事務処理能力と統率力を発揮した中曽根氏は、昭和18年に主計大尉、そして昭和20年5月には海軍主計少佐へと異例のスピード昇進を果たしました。終戦時には27歳の若さで主計少佐の地位にあり、この階級と職務経験が、後の行政手腕の確固たる土台となりました。