なぜ、洗うだけでこれほど劇的に性能が落ちてしまうのか。その理由は、紙マスク(不織布)がウイルスや微粒子を捕獲する仕組みそのものにある。多くの製品内部には、極細繊維に静電気を帯びさせた静電気帯電フィルターが組み込まれている。
このフィルターは、磁石のように微粒子を引き寄せて吸着する。微粒子捕集効率 (PFE) の高さを支えているのは、単なる物理的な網目の細かさではなく、まさにこの「静電気の力」なのだ。しかし、水や洗剤、アルコールなどが付着すると静電気が一瞬で失われてしまう。帯電を失った不織布は、ただの「風通しの良い隙間だらけの布」へと変わり、微粒子の通過を許してしまうのだ。