時計の針を10年ほど巻き戻してみよう。ACミランへの移籍やブラジルW杯といったキャリアのハイライトにおいて、本田圭佑のビジュアルには明らかな変化が見られた。特に首元に残された一本の横線状の傷痕と、鋭さを増した目元の印象は、ネット上のみならず大手メディアでも連日のように取り上げられたのだ。
当時、本人が詳細な病名を公式発表することはなかった。しかし、医療関係者や専門家の間では、首の傷が甲状腺の手術痕に酷似していること、そして眼筋の肥大や眼球突出が甲状腺疾患特有の症状と一致することから、「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」の治療を受けたのではないかという見方が急速に定着した。過酷なプレッシャーと連戦のなかで、彼は自らの肉体に起きた異変と静かに戦っていたのである。