玉ノ井部屋は、元関脇・栃東知浩氏(初代栃東)が興した伝統ある名門です。2009年9月、先代親方の定年退職に伴い、長男である現親方が14代を襲名して部屋を継承しました。この代替わりは、部屋の指導方針のみならず「おかみさんの役割」においても大きな転換点となりました。
先代のおかみさんは、昭和から平成初期の相撲界を支えた典型的な「厳格な肝っ玉母さん」として知られ、部屋の隅々まで目を配り、時には厳しい叱咤激励で弟子たちを育て上げました。一方、現おかみさんの有希さんは、時代に即した「傾聴と見守り」を軸とする新しいおかみ像を確立していきました。
相撲部屋におけるおかみさんの役割は、経理業務、後援会関係者への礼状書きや接遇、冠婚葬祭の手配、さらには弟子たちの健康保険や生活必需品の管理まで多岐にわたります。有希さんは、先代おかみから叩き込まれた伝統の礼儀作法を忠実に受け継ぎながらも、現代的なデジタルツールや事務効率化を柔軟に取り入れ、約20名の所属力士が稽古に集中できる環境を整えてきました。