当館は2026年に向けた展示空間のアップデートを完了し、従来の観覧スタイルを大きく更新した。最大の注目の的は、最先端のライティングと伝統工芸の技が融合した特別企画「平安王朝の美意識展」である。貴族たちが身にまとった十二単の鮮烈なグラデーションや、部屋に薫き込められた香の深みを、光と音、再現された香りによって多角的に実感できる仕掛けが施されている。
特に圧巻なのは、期間限定で公開されている「宇治十帖」の名場面をフィーチャーした高精細ジオラマ展示だ。うっすらとした灯火の中に浮かび上がる匂宮と中君の密会シーンや、川面に揺れる浮舟の切ない心中模様が、現代美術作家の繊細なライティング演出によってドラマチックに甦る。平安貴族が愛した美学が館内全体に満ち満ちており、訪れた人はその静かな熱量に息をのむ。静寂が残る平日の朝一番に足を運ぶことで、千年前の王朝世界にそのまま身を置くような密度の高い没入感を享受できるはずだ。