ランナーとしての有森裕子を作り上げたのは、伝説の名将として知られる故・小出義雄監督との強い師弟関係だ。実業団のリクルート陸上部に所属した彼女は、指導者の熱意と自身の執念を交錯させながら、世界のトップへと上り詰めていった。
度重なる足の故障や激しい精神的プレッシャーに押し潰されそうになった時、いつも傍らで叱咤激励したのが小出監督だった。練習にすべてを捧げた実業団時代、恋愛やプライベートを楽しむ余裕など皆無だったという。ひたむきに走ることだけを見つめたこの過酷な日々が、彼女の精神的な強骨を作り上げたのだった。