「普通の温泉旅館なら、座れば次々と料理が運ばれてくる。でも、ここは違う。自分で選ぶ楽しさがあるんだ」。東京から足繁く通う30代の男性旅行者は、グラスを傾けながら満足そうに語る。
目玉はなんといっても、館内に入っている本格的な精肉店だ。職人が目の前でカットする名物の熟成肉「六拾日肉」をはじめ、上質なカルビやタンがずらりと並ぶ。客は自らショーケースを覗き込み、食べたい肉をオーダーする仕組みだ。ジュウジュウと音を立てるロースターを囲み、自分で肉を育てる高揚感。気取った会席料理にはない、剥き出しの食欲を満たすライブ感がそこにはある。