順風満帆に見えたモデルから俳優への転身だったが、現実は甘くなかった。新東宝に入社したものの、劇団や映画界の古い体質に馴染めず、長い下積み生活を余儀なくされる。倒産、移籍、そして脇役の日々。彼が本当に輝く場所を見つけるまでには、10年近い歳月が必要だった。
この不遇の時代こそが、彼の演技に「本物の飢え」を植え付けた。綺麗事だけでは生きていけない人間のリアル。新宿の裏通りで燻っていた時代の空気感が、後に深作欣二監督と出会うことで爆発する。あの狂気的なエネルギーは、作られたものではなく、彼自身の焦燥感そのものだったのだ。