近年の日本映画界に決定的なパラダイムシフトをもたらした金字塔として、忘れてはならないのが『花束みたいな恋をした』だ。カルチャーを共有する若者たちの恋の始まりと終わりのグラデーションを克明に描いたこの作品は、観客に「これは自分たちの物語だ」と強く確信させた。
一方、涙なくしては見られない名作として語り継がれる『余命10年』は、限られた時間の中で愛を紡ぐ切なさを、圧倒的な映像美で描き切った。病という重厚なテーマを扱いながらも、作品の本質は今を生きる尊さにあり、観客の心に深い爪痕を残した。これら2作の爆発的なヒットは、現代の観客がいかに嘘のない感情のリアリティを切望しているかを証明してみせた。