1945年8月の終戦直後、日本の核研究に関わる機密文書の多くは軍の命令によって焼却処分されました。さらに同年11月、日本に進駐した連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、京都帝国大学や理化学研究所に設置されていたサイクロトロン(粒子加速器)を強制的に解体・接収し、東京湾や琵琶湖沖の海中へ投棄しました。
このサイクロトロンは基礎物理学の研究機器であり、原爆製造装置そのものではありませんでしたが、米軍は日本の核再武装能力を徹底的に警戒したのです。心血を注いだ研究機器を目の前で壊された荒勝教授や研究員たちの無念は計り知れません。
2026年代に入り、柳楽優弥さんや有村架純さん、三浦春馬さんが出演したドラマ・映画『太陽の子』が公開され、F研究に青春を捧げた若き科学者たちの姿が広く知られるようになりました。純粋に未知の物理現象を解明したいという科学的好奇心と、それが兵器として同胞や他国の人々を殺傷することへの恐怖。劇中で描かれた苦悩は、残された一次資料に記された若者たちの生々しい心情と重なります。