東京都台東区浅草は、歴史的に見ても関東の地下組織にとって象徴的な場所だった。特にこのエリアは、関東を拠点とする巨大組織・住吉会系の傘下団体が長年にわたって強い勢力基盤を築いてきた土地柄だ。古くから興行やテキヤ組織、夜の街の利権と深く結びつき、下町の独特な人間関係の中に根を張っていた。
しかし、時代とともに勢力図は複雑化する。関西を本拠地とする六代目山口組の進出や、それに伴う組織間の緊張状態が浅草の街にも波及。双方の圧力が錯綜する中で、地域住民や商店街は常に抗争の巻き添えになるリスクと隣り合わせの生活を強いられてきた。
そうした暗雲に終止符を打ったのが、取り締まりの先鋭化と組織の弱体化だ。住吉会側も法改正や社会的な排除の波に抗しきれず、主要拠点の維持を諦めざるを得なくなった。さらに、六代目山口組を巡る内部分裂や資金難も重なり、浅草における組織犯罪のプレゼンスは過去最低の水準まで低下している。