男女におけるオーガズムの体験には、解剖学的な構造の違いからいくつかの明確な相違点が存在します。なかでも誤解されやすいのが、男性における「射精」と「オーガズム」の関係性です。
多くの男性にとって射精とオーガズムはほぼ同時に発生するため同一視されがちですが、生理学的には異なるメカニズムです。射精は精液を体外に押し出す筋肉の反射(精管や尿道周囲の収縮)であり、オーガズムは脳が知覚する神経的・精神的な絶頂感です。そのため、前立腺の切除後などで精液が出ない状態でもオーガズムを感じるケースや、射精を伴わないドライオーガズムといった現象が起こり得ます。
また、絶頂後の身体反応にも大きな差があります。男性には射精後に一時的に性的興奮を感じられなくなる「不応期(リフラクトリー・ピリオド)」が存在しますが、女性にはこの不応期がほとんどありません。そのため、女性は適切な刺激が継続すれば、短時間で複数回の絶頂を迎える「マルチプル・オーガズム」が可能という生理的特徴を持っています。