物理的な館内利用者の減少を穴埋めするように、各地の自治体で急速に推進されているのが電子図書館普及事業である。ICT教育の推進や行政のデジタルトランスフォーメーションの波を受け、電子書籍の貸出システムを導入する公立図書館は全国規模で拡大を続けている。
来館せずに24時間いつでも手元の端末上で本を借りて読める電子図書館は、子育て世代や多忙な社会人、身体的な制約を持つ人々にとって計り知れない利便性をもたらした。しかしその反面、来館者数や現物の貸出冊数という従来型の統計指標においては、「数字に反映されにくい利用」を増やす結果にも繋がっている。未来の読書環境は、もはや建物の壁の中に留まらず、ネットワークという目に見えない領域へと確実に移行しつつあるのだ。