みずほフィナンシャルグループとの共同プロジェクトが破綻に至った理由は、単なる予算オーバーだけではありません。ITカルチャーとメガバンクの文化的なギャップ、そしてシステム統合の極めて高いハードルが横たわっていました。
LINE側が求めたのは、若年層が直感的に操作できるアジャイルで軽快なUI/UXでした。一方で、みずほ側が背負っていたのは、金融庁の厳格なレギュレーションと絶対に止まってはならない勘定系システムの安全性・耐障害性です。数々のシステム障害を経験してきたみずほ銀行にとって、セキュリティやコンプライアンスの基準を少しでも緩める選択肢はありませんでした。
結果として、スピード感を重視するWeb・アプリ開発と、堅牢さを極限まで求める銀行インフラのすり合わせは難航を極めました。開発が長期化するあいだに、住信SBIネット銀行や楽天銀行、さらにはPayPay銀行などの競合デジタルバンクが急速にシェアを拡大。莫大な追加コストをかけて開業しても、先行他社からシェアを奪えるだけの差別化要素を見出せなくなったことが、決定的な断念理由となりました。