ペットボトル罠の最大の問題は、捕獲効率の低さ以上に、管理・回収時に発生するマムシ自作罠の危険性と真相にある。マムシは日本国内に生息するヘビ類の中でも強力な出血毒と筋肉融解毒を併せ持ち、国内で年間約1,000〜2,000人が咬傷被害に遭い、毎年死亡事故も報告されている危険生物だ。
もし仮に全長45〜60cmほどに達した成体のマムシがペットボトル罠に入った場合、プラスチックの薄い壁面越しに人間が接近すれば、激しく威嚇し暴れ回る。ペットボトルの素材はわずか0.2〜0.5mm程度の厚みしかなく、切り口の隙間や通気用の小穴から毒牙が露出したり、回収の衝撃でボトルが外れて手元に飛び出してきたりする危険性が極めて高い。
また、マムシの出没時期と活動時間を正確に把握していないことも事故を誘発する要因となっている。マムシの活動期は春先の4月から10月下旬にかけてであり、特に初夏から初秋の繁殖期には活動が活発化する。気温が25℃を超える真夏の日中は石垣の隙間や日陰、水辺の藪に潜み、気温が下がる夕暮れから夜間にかけて活発に徘徊する。
「朝露が残る草むらに仕掛けた罠を見に行く」「夜間に懐中電灯ひとつで見回る」といった行動自体が、マムシの捕食活動エリアへ自ら無防備に踏み込む行為に他ならない。ネット上の情報を鵜呑みにして素手や薄手の軍手で罠を持ち上げ、注ぎ口の隙間から指を噛まれるといった事故例が医療機関に報告されている現実は、重く受け止める必要がある。