綺麗な目を保つための決定打は、左手の糸の保持と右手の角度にある。日本手芸普及協会の指導者育成カリキュラムでも強調されているように、糸の張力を安定させることが美しい編み目への最短ルートだ。
左手の人差し指に糸をかけ、中指と親指で編み地の根元をしっかり押さえる。この「根元を押さえる位置」を、編み進めるごとにこまめに上へ移動させることがプロの隠れたテクニックだ。根元から遠い場所を押さえたまま編み続けると、糸の張力が不安定になり、目が不揃いになってしまう。ニット界の巨匠として知られる廣瀬光治氏も、過去の講演やメディアで「指先の力みを取り、糸と針が滑らかに対話するようなリズムを持つことが上達の鍵」と語っている。
具体的には、かぎ針を動かすのではなく、左手の指で糸を針にかけるような感覚を意識するとよい。右手に力が入りすぎると、針の角度がブレて目が揃わなくなるため、ペンを持つように優しく握る「ペン持ち」、あるいはナイフのように上から包む「ナイフ持ち」のどちらが自分にフィットするかを試してみよう。