日本の労働法制において、使用者の人事権には一定の裁量が認められているものの、無制限に行使できるわけではありません。労働契約法第3条5項や過去の最高裁判例に基づき、人事権の濫用とみなされる処分は法的に無効と判断されます。
降格人事の違法性を判断する基準は、主に「業務上の必要性」「動機・目的の正当性」「労働者が受ける不利益の程度」の3点です。例えば、退職勧奨を拒否したことへの報復や、上司の個人的な感情による左遷、私生活での一時的な体調悪化を口実にした極端な引き下げは、動機の正当性を欠くため違法と評価されます。
特に業務のプレッシャーやハラスメントが原因でメンタルヘルス不調に陥っている最中に行われた人事評価・降格処分は、会社が労働者の心身の健康に配慮すべき「安全配慮義務」を怠った結果とみなされ、無効判決が下される有力な要素となります。