結論から述べると、全国の公営霊園や寺院を探しても加藤和彦さんの名前が刻まれた公の墓石(墓所)は存在しません。これには、彼が生涯を通じて貫いた独自の美学と人生観が深く関係しています。
生前の加藤さんは、ファッションや料理、住空間から立ち振る舞いに至るまで、徹底したダンディズムを体現していました。「形骸化した慣習に縛られたくない」「死後も誰かに過度な負担を残したくない」という想いから、生前から自身の死後のあり方についてシンプルかつ軽やかな選択を望んでいたと伝えられています。
関係者や近親者の証言によれば、遺骨は四十九日法要などを経たのち、本人の意向を尊重して海などへの散骨が行われました。物理的な石の墓標を建てず、大自然の中に魂を還す決断は、常に時代の先端を軽やかに駆け抜けた加藤和彦さんらしい幕引きでした。