記憶力を向上させるために、長時間の単調な暗記作業は逆効果です。認知心理学で効果が実証されている効率的なアプローチを取り入れる必要があります。
最も推奨される手法が「アクティブリコール(能動的想起)」です。テキストを何度も再読する受動的なインプットを止め、「読んだ直後に本を閉じ、内容を頭の中だけで思い出す」「白紙のノートに要点を書き出してみる」という負荷を脳にかけます。脳は「情報を入れたとき」ではなく、「情報を必死に引き出そうとしたとき」に神経回路を強化します。
ワーキングメモリそのものの機能を底上げするには、日常的なトレーニングが有効です。例えば、1日の終わりに「今日食べた3食のメニューと会話した人の名前を時系列で思い出す作業」や、少し長めの計算を暗算で行うだけでも前頭前野が刺激されます。また、復習の間隔を「翌日→3日後→1週間後→2週間後」と徐々に広げていく「分散学習」をスケジューリングすることで、海馬のエビングハウスの忘却曲線に抗い、最短の労力で記憶を定着させることが可能です。