オーディションの場に現れた彼女は、当時まだ本格的な演技経験がほとんどない16歳の少女だった。作品を率いた園子温監督といえば、妥協を許さない破天荒な指導と鋭利な世界観で知られる鬼才である。緊張感が張り詰めるスタジオで、彼女が見せた立ち振る舞いは異質だった。型にはまった台詞回しを嫌う監督の要求に対し、彼女は計算を捨てた剥き出しの感性で応答したという。
撮影現場はまさに戦場だった。極限状態まで追い込まれるキャストたちの中で、彼女は監督からの苛烈な演出指示にも決して怯まなかった。後年のインタビューでも明かされているように、その度胸と即興性は監督を唸らせた。台本を超えた偶発的な化学反応が、フィルムに刻み込まれていったのだ。