ダイエットの文脈で語られる飢餓状態とは、摂取エネルギーが必要量を大幅に下回った際、ホメオスタシス(恒常性維持機能)が作動して省エネモードへと切り替わった状態を指します。人間の体は、カロリー収支がマイナスになった初期段階では体脂肪やグリコーゲンを分解してエネルギーを補いますが、制限が過度または長期間に及ぶと「生命維持が脅かされている」と脳の視床下部が警報を発します。
この防衛反応が引き起こす決定的な生理変化が「基礎代謝の急激な引き下げ」です。体は心拍数をわずかに落とし、体温を下げ、内臓の活動レベルを落とすことで、1日に消費するエネルギーを強制的に削減します。その結果、開始当初と同じ厳しい食事制限を続けていても消費カロリーが摂取カロリーと同等まで落ち込み、飢餓モードによる停滞期が完成します。努力が足りないのではなく、人体の生存本能が正しく機能している結果として体重減少がストップするのです。