なぜ私たちは、これほどまでに画面から目を離せなくなるのか。その謎を解き明かす鍵は、行動心理学者B.F. スキナーが提唱した「可変報酬スケジュール」という理論にある。ネズミがレバーを押したとき、常に餌が出るのではなく、不定期かつランダムに餌が出る仕組みにすると、ネズミは執拗にレバーを押し続けるようになる。マッチングアプリのアルゴリズムは、まさにこの実験をスマホの画面上に再現したものだ。
次にどんな魅力的な相手が現れるか分からない、いつ「いいね!」が返ってくるか予測できないという不確定要素が、脳内で快楽物質ドーパミンを大量に放出させる。このドーパミンの過剰分泌こそが、理性を麻痺させ、衝動的なスワイプ動作を繰り返させる真犯人だ。脳は「次の刺激」を求めて飢餓状態に陥り、快楽ではなく不安を打ち消すために指を動かし続ける。