花粉症に一生ならない人の背景には、生まれつきの遺伝的素因と獲得された免疫機構の精密な制御システムが存在します。その中心となるのが、白血球の型であるHLA(ヒト白血球抗原)の遺伝子型と、ヘルパーT細胞のバランスです。
体内に侵入した花粉(アレルゲン)を「無害な異物」として受け流すか、「排除すべき敵」として過剰認識するかは、免疫の司令塔であるヘルパーT細胞(Th1とTh2)の拮抗関係に左右されます。
アレルギー体質の人は、アレルギー反応を促進するTh2細胞が優位になりやすく、花粉をキャッチした際に肥満細胞と結合する「IgE抗体」を大量に作り出します。これに対して花粉症を発症しない人は、感染症などに対抗するTh1細胞とのバランスが極めて安定しているか、過剰な免疫応答にブレーキをかける「制御性T細胞(Treg)」が正常に機能し、アレルギー暴走を未然に遮断しています。
遺伝的にアレルギーを起こしやすい「アトピー素因」を持たない家系では、アレルゲンに対するIgE抗体の産生能そのものが低く抑えられており、これが生涯にわたって発症を免れる強固な防壁となっています。