親との関係性に苦しむ当事者の間で整理が進んでいるのが、意図的な悪意に基づく「毒親」と、脳の特性に起因する発達障害の言動との違いである。悪意や支配欲ではなく、心の理論(他者の感情を推し量る機能)の未発達や特性上の不器用さが引き起こすコミュニケーション不全は、支援のベクトルを大きく左右する。
精神科医の岡田尊司氏をはじめとする専門家は、こうした身近な関係性における情緒的交感の欠如が、配偶者や子どもに二次的な精神的不調をもたらすメカニズムを指摘する。これがカサンドラ症候群と呼ばれる状態だ。周囲に苦しみを理解されにくく、「実の親の愚痴を言う薄情な子」という誤解に晒されることで、当事者の孤独感は二重化していく。