家庭用燃料電池「エネファーム」は、都市ガスやLPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電する先進的なシステムだ。発電時の排熱でお湯を沸かす高効率さが評価され、新築戸建て住宅を中心に着々と導入が進んできた。しかし、その高効率設計の陰で、隣家との距離が近い日本の密集した住宅事情が大きな壁となって立ちはだかる。
トラブルの元凶は、一般的な生活騒音のように耳でハッキリと聞こえる高い音ではない。機器内部のコンプレッサーやファンが稼働する際に生じる、低周波の空気振動である。「重低音が地響きのように身体に響く」「夜になると頭の奥が締め付けられるようだ」――被害を訴える人々は一様に口を揃える。こうして勃発する近隣騒音トラブルは、当事者同士の話し合いだけでは平行線を辿りやすく、地域社会からの孤立感を深める要因となっている。