「電話が鳴るだけで心臓がバクバクする」「相手の顔が見えない状態でリアルタイムに会話するのが恐怖でしかない」。こうした声は、単なるわがままや甘えではない。精神医学や心理学の知見では、こうした極度の電話嫌いは電話恐怖症(フォン・フォビア)として認識されており、重症化すると社交不安障害の症状の一部としてあらわれることもある。
精神科医の岡田尊司氏をはじめとする専門家たちは、電話という媒体が持つ「非同期コミュニケーションの不在」を指摘する。メールやチャットなら推敲できる文章も、通話では一瞬の言い淀みが沈黙を生み出し、失敗への恐怖を増幅させる。厚生労働省が発信するメンタルヘルス関連の啓発情報においても、対人コミュニケーションの多様化に伴い、音声通話に対する過剰な緊張やストレスを抱える人が若い世代を中心に急増している実態が浮かび上がっている。