誤解してはならないのは、「次亜塩素酸ナトリウム自体は、ノロウイルス等の感染症対策において最も確実で不可欠な武器である」という事実です。アルコール消毒液が効きにくいノンエンベロープウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス等)に対し、厚生労働省の感染症マニュアルでも次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が第一選択として指定されています。
重要なのは「空間に撒く」のではなく、「正しい濃度に希釈し、ペーパーや布に吹き付けて対象物を拭き取る(清拭する)」ことです。家庭で広く使われている花王「キッチンハイター」や各社塩素系漂白剤(原液濃度約5〜6%)を使った黄金比率をまとめました。
目的別の希釈倍率と作り方(原液濃度5%の場合)
- 【嘔吐物・便が直接付着した床や衣類の処理】濃度 0.1%(1,000ppm)
・水 1リットル に対し、原液 20ml(ペットボトルのキャップ約4杯分)
・非常に強力な濃度の利便性と引き換えに刺激が強いため、必ずゴム手袋・マスク・メガネを着用して作業します。 - 【ドアノブ・手すり・おもちゃ・トイレ等の日常消毒】濃度 0.02%(200ppm)
・水 1リットル に対し、原液 4ml(ペットボトルのキャップ約1杯弱)
・日常的な接触感染を防ぐための標準的な希釈倍率です。
容器選びの落とし穴:材質は「高密度ポリエチレン(PE)」を選ぶ
希釈液をスプレーボトルに入れる際は、容器の材質選びに細心の注意を払わなければなりません。適当な空き容器を使うと、薬剤の腐食性によって容器が破裂・溶解する恐れがあります。
選ぶべき材質は「PE(高密度ポリエチレン)」または「PP(ポリプロピレン)」です。ボトルの底面に刻印されているリサイクルマークや材質表示を必ず確認してください。透明な「PET(ポリエチレンテレフタレート)」や金属製の容器は、塩素によって急速に劣化・腐食するため厳禁です。また、次亜塩素酸ナトリウムは紫外線で急激に分解して水に戻ってしまうため、不透明な遮光性ボトルを選ぶことが必須条件です。
スプレーを使用する際は、決して対象物に向かって遠くから吹き散らしてはいけません。「ボトルのノズルをキッチンペーパーや使い捨てクロスに密着させて吹き付け、液を行き渡らせてから対象面を一方通行で拭く」のが現場感染対策のグローバルスタンダードです。拭いた後は10分ほど放置し、仕上げに水拭きを行って薬剤成分をしっかり除去します。