事故処理と刑事・民事の司法判断は、極めて慎重かつ重厚なプロセスを経て下された。刑事裁判において被告側は一貫して「車の異常による加速」を主張し、アクセルペダルの踏み間違いを否定していた。しかし、東京地方裁判所および東京高等裁判所は、車両の電子制御データやブレーキランプの点灯状況、さらには車両検査結果を綿密に精査し、車両側の誤作動の可能性を全面的に排除した。
最高裁判所への上告断念によって禁錮5年の刑事判決が確定した後、審理の舞台は民事裁判へと移行した。遺族側が損害賠償を求めた民事訴訟において、東京地方裁判所は被告側の過失責任を全面的に認め、巨額の支払いを命じる判決を言い渡した。この判決は単なる金銭的補填にとどまらず、加害者側の真摯な反省と事実の厳正な承認を求めてきた遺族にとって、ひとつの重大な区切りとなった。
経済産業省の元高官という経歴が捜査段階での逮捕見送りに影響したとの疑念が広がった初期の騒動に対し、司法機関が科学的証拠に基づいて淡々と事実認定を重ねたプロセスは、日本の刑事法治主義の厳格さを示す事例となった。一方で、受刑者の高齢さや身体機能の衰えが審理に与えた影響は、今後の高齢被告人をめぐる判決・刑の執行のあり方にも大きな議論を残している。