舞台芸術の枠を飛び越え、映像表現としても評価されてきた。その代表格が映画『曾根崎心中』(1978年)である。監督の増村保造が魅せた濃密な心理描写と、梶芽衣子・宇崎竜童による圧倒的な演技力は、古典の文脈を破調し、エロスとタナトスが交錯する現代的な青春狂騒曲へと変貌させた。
制作を手掛けた松竹株式会社による映像化の試みは、名作が持つ普遍的な魅力を映画ファンへ印象付けた。また現在では、NHKオンデマンドをはじめとするストリーミングサービスを通じて、過去の名演や関連ドキュメンタリーを容易に視聴できるようになっている。メディアの形が変わっても、語り継がれる物語の熱量は衰えを見せない。