1990年代から2000年代にかけて起こった格闘ゲームブームの波は、黒崎の地にも容赦なく押し寄せた。店内にズラリと並んだ対戦筐体は、腕に覚えのあるプレイヤーたちの主戦場となった。
連勝記録を伸ばす猛者に挑む挑戦者たち。負ければ即座に席を譲る厳しい勝負の世界でありながら、そこには不思議と温かいリスペクトが存在していた。対戦が終われば、直前まで画面上で殴り合っていた相手と技のコマンドや戦術について語り合う。学校や職場の枠組みを超えた、ゲームという共通言語でつながるローカルコミュニティがそこに完成していた。