ファンが最も固唾を呑んで見守っているのが、「甲斐享 ダークナイト その後」のストーリーラインをどう処理するのかという脚本上のリアリティです。成宮寛貴 相棒 降板 理由とも直結する2015年の最終話「ダークナイト」は、警察官でありながら自らの正義に溺れ、悪人を闇で裁く私刑執行人へと堕ちていった享を、右京が涙ながらに断罪するという悲痛な幕切れでした。
放送当時、この結末には賛否両論が巻き起こりました。父親である警察庁次長・甲斐峯秋(石坂浩二)の失脚危機、最愛の女性である笛吹悦子の白血病罹患と妊娠など、幾重もの重圧の中で精神的バウンダリーを喪失した青年の悲劇として描かれたものの、ファンにとっては「救いのないトラウマ」として記憶されたのです。
現代の地上波ドラマが遵守すべきコンプライアンスにおいて、受刑者が軽々しく捜査に関与することはリアリティを著しく欠きます。しかし、服役期間を考慮すれば、模範囚としての仮釈放、あるいは服役満期を迎えるタイムラインは十分に構築可能です。刑務所内での面会室シーン、出所後の更生プログラム、あるいは父親である峯秋や息子・結平を巡る凶悪事件に間接的に巻き込まれるプロットなど、「贖罪を背負った元刑事」としての出演であれば、刑事ドラマとしての品位と倫理観を損なわずに成立させられる道筋は存在します。