映画界からテレビドラマの黄金期へ移行するなかで、八千草薫さんは日本ドラマ史に燦然と輝く数多くの代表作を残しました。そのなかでも最大のターニングポイントとなったのが、1977年の山田太一脚本ドラマ『岸辺のアルバム』です。
それまでの清純派イメージを覆し、平凡な家庭の崩壊と不倫の恋に揺れる主婦・田島則子役を迫真のリアリティで演じ切り、テレビ大賞主演女優賞など数々の栄冠を獲得しました。さらに映画『男はつらいよ 寅次郎夢枕』のマドンナ役やお母さん役、そして晩年の大ヒットドラマ『やすらぎの郷』(2017年、倉本聰脚本)における名優・九重めぐみ(通称・姫)役に至るまで、年を重ねるごとに役柄の深みを増していきました。