かつては完全に二分されていたこの二つの世界だが、2026年現在のテクノロジーは、その境界線を急速に曖昧にしつつある。
特に注目されているのが、有機分子と無機材料をナノレベルで組み合わせた「有機・無機ハイブリッド材料」だ。例えば、柔軟で軽量な有機プラスチックの特性と、熱や摩耗に強い無機ガラスの特性を併せ持つ新素材が、次世代スマートフォンのディスプレイや折りたたみ式デバイスの基板として実用化されている。
さらに、人工光合成の分野では、無機物の金属触媒を用いて、太陽光と二酸化炭素(無機物)から有機物であるアルコールや燃料を作り出す技術が実用段階に入った。生命の特権だった「有機物の合成」を、人類は無機テクノロジーによって再現し始めている。