そもそも「刺青(いれずみ)」という言葉が持つ響きには、日本の歴史が色濃く影を落としている。江戸時代の刑罰としての「入墨」や、その後に発展した職人たちの粋な「彫り物」。これらは、和彫りと呼ばれる独自の美学へと昇華した。一方で「タトゥー」は、西洋から輸入されたポップカルチャーや自己表現の手段として定着してきた経緯がある。
この二者は、起源も目的も異なる。前者は共同体への帰属やある種の覚悟、あるいはアウトローの象徴として機能してきた。後者は個人のアイデンティティやファッションの延長線上にある。この根本的な出自の差が、現代の日本人の脳内に異なるフィルターを形成しているのだ。