日本のステップファミリー研究の第一人者である明治学院大学の野沢慎司名誉教授は、再婚家庭が崩壊する主因として「初婚型家族の神話」を挙げる。血のつながった家族と同じように振る舞おうとすること自体が、親と子の双方に無理な役割演技を強いるというのだ。
野沢氏が提唱するのは、継親(ステップ親)がいきなり「父親」「母親」になろうとせず、良き理解者や「キャンプの頼れるリーダー」「親切な叔父・叔母」のようなポジションから関係を紡ぎ始めるアプローチだ。しつけや指導は実親が担い、継親はサポート役に徹する。この明確な境界線こそが、子どもに「実の親を裏切っている」という忠誠葛藤を抱かせず、穏やかな同居生活を可能にする知恵である。