1989年の大晦日、午後10時という異例の時間帯にテレビ朝日のスタジオで開かれた緊急記者会見。多くの視聴者が目を見張ったのは、壇上に設置された鮮やかな「金屏風」でした。日本の芸能界において、金屏風は婚約発表や極めて慶事の会見にのみ用いられる象徴です。当時、自宅療養中だった明菜に対して「婚約会見を開くから」と呼び出されたのではないかという説が長年囁かれ続けてきました。
しかし、会見の実態は明菜による一方的な「謝罪会見」でした。髪を短く切り、沈痛な面持ちでグレーのスーツに身を包んだ明菜は、「私が一番信頼している近藤さんを巻き込み、大変なご迷惑をおかけしました」と涙ながらに深々と頭を下げ続けました。一方の近藤は、彼女の横に座りながらもどこか他人事のような態度を崩さず、報道陣から「結婚の予定は?」と問われた際、「そういうことは全くありません」と即座に言い放ちました。
この会見を演出・差配したキーマンとして名が挙がるのが、当時のジャニーズ事務所副社長・メリー喜多川氏です。彼女にとって最大の目的は、事務所のエースである近藤真彦を「女性を自殺未遂に追い込んだ非情な男」という社会的失脚の危機から救い出すことでした。明菜自身にすべての責任を公の電波で認めさせ、近藤を単なる「巻き込まれた被害者」として再定義するシナリオが冷徹に執行されたと、当時の芸能記者や関係者の多くが証言しています。