だが、輝かしいデビューの裏には、常に「中森明菜の妹」という巨大な重圧が付きまとっていた。当時、姉の明菜は大手芸能プロダクション「研音」の看板スターとして、音楽界の頂点に君臨。歌謡曲黄金期を象徴する圧倒的なカリスマ性を誇っていた。
妹である明穂がどれほど努力を重ね、女優としての実績を積もうとも、周囲の目線やメディアの取材攻勢は常に「姉との比較」へと収斂していった。自身が目指す役者像と、世間から求められる「スターの親族」という偶像。その乖離は、若い彼女の心に静かに、しかし確実な亀裂を生んでいったのだった。