根本的な思想基盤に目を向けると、神社は日本固有の民族信仰である神道に基づいている。八百万の神々に感謝を捧げ、自然や祖先の霊を祀るスタイルだ。これに対し、お寺はインドを発祥とし中国・朝鮮半島を経由して伝来した仏教の施設である。悟りを開き、生老病死の苦しみから解脱することを目的とした教えが根底にある。
この二大信仰は長らく融合していた。飛鳥時代に聖徳太子が仏教を受け入れて以降、日本人は神と仏を同体とみなす「神仏習合」の文化を育んだ。平安時代に東寺を拠点とし密教を広めた空海の時代にも、神道の神々は仏の化身(権現)として信仰されたのである。この深遠な宗教史は、明治初期の「神仏分離令」によって劇的に引き裂かれるまで一千年以上も続いた。