表参道に足を踏み入れた瞬間、空気が一変するのを感じる。京都から移植された北山杉が一直線に伸びる参道は、外界の雑音をシャットアウトする完璧な防音壁の役割を果たしているのだ。ここには、大正天皇の陵墓である「多摩陵(たまのみささぎ)」と、昭和天皇が眠る「武蔵野陵(むさしののミササギ)」が隣接して造営されている。
上空から見れば一目瞭然だが、これらの陵墓は上円下方墳という古代の伝統様式を踏襲しつつ、近代建築の精密さを融合させた独特の美構造を持つ。明治維新を経て急激な西洋化を遂げた日本が、いかにして「伝統の継承」と「近代国家の威厳」を同時に表現しようとしたか。その苦心が、この重厚な土造りの墳丘に凝縮されている。