俳優としてキャリアの絶頂期にあった1990年代半ば、彼は大きな決断を下す。家族との時間を最優先にするため、拠点をニュージーランドへと移したのだ。華やかな芸能界の中心から一歩距離を置き、大自然の中で子供たちを育てる選択は、当時の日本の芸能界においては極めて異例の試みだった。
この渡航と生活の経験は、人間としての懐をさらに深めることとなった。自然と対話し、地に足のついた日常生活を送ることで培われた穏やかさと強さは、帰国後の演技に明らかな深みと「静かなる迫力」をもたらした。役者としての幅は、人生の選択によって確実に広げられたのだ。