保冷剤の取り扱いにおいて、最も被害が深刻化しやすいのが「後処理」と「誤飲」に関する認識不足です。
トイレ・シンク・お風呂の排水溝には絶対に流さない
「水分だから排水口に流しても大丈夫だろう」とジェルをシンクやトイレに流してしまう事例が後を絶ちません。しかし、これは水道配管を完全に塞ぐ重大事故につながります。
高吸水性ポリマーは水分に触れるとさらに膨張する性質を持っています。排水管トラップや下水管の内部に溜まったポリマーは、配管内の水を吸って数百倍の体積に膨れ上がり、強固なゼリー状の閉塞壁を作ります。一度詰まると市販のパイプクリーナーでは溶かすことができず、高圧洗浄や配管交換など数万円規模の修理費用が発生するケースがあります。
「固まらないタイプ(ソフトタイプ)」の化学成分に注意
冷凍庫に入れてもカチカチに凍らない「不凍ゲルタイプ」の保冷剤には、凍結温度を下げるために水以外の成分が含まれています。従来品や一部の輸入品にはエチレングリコール等の毒性を持つ不凍液が使われている場合があり、少量でもペットや乳幼児が口にすると急性中毒を起こす危険性があります。
現在流通している多くの食品用ソフト保冷剤は安全性の高いプロピレングリコールや糖類に代替されていますが、外袋の成分表示を確認できないものは中身を出さず、そのまま廃棄するのが鉄則です。
乳幼児やペットの誤飲事故と応急処置
好奇心旺盛な小さな子どもや犬・猫が保冷剤の袋を噛みちぎって誤飲する事故が定期的に報告されています。万が一誤飲した場合は、無理に吐かせると気管に詰まるリスクがあるため直ちに口の中のジェルをガーゼ等で拭き取り、水や牛乳を飲ませて胃内の濃度を薄めた上で、速やかに小児科・獣医師または日本中毒情報センターへ相談してください。