女優として順風満帆に見えた30代の半ば、突如として人生の大きな波が押し寄せる。実母の病気と介護だ。「ヤングケアラー」や「介護離職」といった言葉がまだ社会に根付いていなかった時代。仕事と介護の二重生活は、心身をすり減らす過酷なものだった。約11年間という歳月を、彼女はひとりの娘として母の命と向き合い続けた。
現場で直面する孤独、葛藤、そして愛おしさ。それらすべてをごまかすことなく受け止めた経験が、のちに著書や講演活動として結実する。過剰に美化することなく現実を語る姿勢は、同じ悩みを抱える多くの家族にとって、暗闇を照らす灯火となった。