長年タブー視されてきた邦画界の暗部に強烈なメスを入れたのが、雑誌『週刊文春』による一連のスクープ報道だった。とりわけ、海外の映画祭でも高い評価を受けていた映画監督の園子温氏を巡る性加害疑惑の浮上は、日本映画界全体を根底から揺るがす大事件となった。
作品への出演権や監督という絶対的な立場を背景に、私的な関係を強要していたとされる疑惑の言及は、映画ファンのみならず社会全般に激震を与えた。この報を皮切りに、これまで口を閉ざしていた俳優やスタッフからの声が次々と上がり始め、監督とキャストという絶対的な上下関係を背景としたハラスメント行為の実態が暴かれていくこととなる。
文春報道が果たした役割は、単なるスキャンダル消費にとどまらない。それまで「表現の自由」や「芸術の追求」という言葉の陰に隠されてきた理不尽な搾取構造を、誰もが逃げられない現実として突きつけた点において、日本のエンタメ史における大きな転換点となった。