財務省が長年にわたり主張し続ける「財政再建」の必要性。その言説の裏には、省益を守り増税の地ならしを進めるための巧みなロジックが隠されている。官僚組織の内部構造を熟知する立場から見れば、国債発行残高という負債のみを強調し、政府が保有する膨大な資産を無視した単式簿記的な議論は明らかに不自然である。
政府と日本銀行を一体として捉える「統合政府」の概念を適用すれば、日本の財政状況の見え方は一変する。負債だけでなくアセット(資産)を正しく相殺し、含み益や子会社としての日銀の損益を通算して計算すると、日本の純負債は対GDP比で見ても他国と比べて決して異常な水準ではない。財務省が語る「ギリシャ化する日本」という言説は、数字の切り取りによるレトリックに過ぎない。
真の財政健全化とは、国民負担率を不必要に高める増税ではなく、経済成長を通じた税収の自然増によって達成されるべきだ。無暗な緊縮財政は経済のパイを縮小させ、かえって財政を悪化させる悪循環を生み出す。この構造的な事実を直視しない限り、真の意味での経済再生はあり得ない。