有福神楽保持者会を牽引するのは、代表の佐々木昌延氏をはじめとする熟練の指導者たちだ。彼らの多くは普段、農業や建設業、会社員などそれぞれの職業を持っている。日中の仕事を終えた後、冷え込む神社の拝殿に集まり、夜遅くまで汗を流す。
稽古場で飛び交うのは厳しい怒号と熱い助言だ。「足の踏み込みが甘い」「神への敬意が舞に出ていない」。妥協を許さない姿勢は、有福神楽のクオリティを高く維持する唯一の方法だ。道具のメンテナンスや面の色塗り、衣装の縫い直しまで、彼らは自分たちの手作業でこなしている。そこにあるのは、先人から受け取ったバトンを絶対に落とさないという強靭な執念である。