今年の課題曲と自由曲の選定には、言葉と音楽の結びつきを再定義するような深い挑戦が見て取れる。
日本を代表する詩人・谷川俊太郎が遺した平易でありながら宇宙的な奥行きを持つ詩句は、今なお子どもたちの感性を揺さぶり続ける。生きることの痛み、他者と出会う驚き、世界の広がり。難解な言葉を使わずに本質を突くその詩は、十代の澄んだ喉を通ることで、かつてない瑞々しい生命力を獲得する。
そこに現代の合唱音楽界を牽引する作曲家・信長貴富の手による緻密でダイナミックなスコアが重なる。伝統的な合唱の美しさを保ちつつ、時に不協和音を恐れずに感情の軋みを表現するその楽曲は、歌い手にも聴き手にも強烈な知的情動を呼び起こす。言葉を単なる歌詞としてではなく、生きる実感として歌い上げる若者たちの姿に、日本の合唱文化の成熟を見ることができる。