映画ファンの心を掴んで離さない最大の要因は、間違いなく奇跡的とも言えるスタッフとキャストのタッグだろう。メガホンをとるのは、繊細な家族模様や人間の尊厳を描き続けてきた是枝裕和監督。そして主演を務めるのは、圧巻の演技力で世界を魅了し続ける役所広司だ。
映画『楽酒』で役所が演じるのは、老舗酒蔵の十五代目当主。時代の波に飲まれ、廃業の危機に瀕しながらも、究極の酒造りに人生を賭ける男の生き様を泥臭く、しかし神々しく演じ切っている。是枝監督が得意とするリアルな台詞回しと、役所が見せる言葉を超えた表情の演技。二人の化学反応が生み出す極上のヒューマンドラマは、観客の感情を激しく揺さぶるはずだ。