「最初にこのコンセプトに触れたとき、全身に電撃が走った」――本紙の独占取材に応じたクリストファー・ノーラン監督は、強い眼差しでそう語った。彼がインスピレーションを受けたのは、日本の特撮・漫画界の巨匠・石ノ森章太郎が生み出した作品群に流れる「良心回路」と人間の二面性のテーマだ。
半世紀前に生み出された不朽の精神性を、重厚なSF映画として再構築する。ノーラン監督はCGを極力排除し、巨大な実物セットを組み上げる手法を貫いている。「不完全な善悪の葛藤こそ、現代社会が抱える最大のサスペンスだ」と語る監督の言葉には、作品への揺るぎない確信が満ちあふれていた。